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 電力買い取り制度案 柔軟対応に向け協議を
2010/09/03(金) 本紙朝刊 総合2面 A版 2頁
 太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電力のすべてを、一定期間、有利な価格で、電力会社が買い取ることを義務付ける「全量買い取り制度」の案を、経済産業省がまとめた。
 現在の買い取り制度の対象が、家庭用太陽光発電の余剰分だけに限られているのに対し、対象を風力や地熱、中小の水力、バイオマスに拡大。家庭だけでなく企業が事業として行う太陽光発電なども買い取ることにするというのが新制度の根幹だ。
 温室効果ガスの排出量削減や、エネルギー源の多様化に貢献するとして諸外国で導入が急速に進む中、制度の実現により、立ち遅れが目立っていた日本の再生可能エネルギー利用の拡大につながることを期待したい。
 パリに本部を置く調査機関「21世紀のための自然エネルギー政策ネットワーク」(REN21)によると、2009年末の日本の再生可能エネルギーによる発電容量はトップの中国の約7分の1で、世界6位にとどまった。かつて世界一を誇った太陽光発電の容量も、05年にドイツに抜かれて以降、その差は開く一方で、風力発電の停滞となるとさらに深刻だ。
 電力会社に一定量の再生可能エネルギーの利用を義務付ける制度を導入したものの、その目標値が非常に低かったために、国内に再生可能エネルギーの市場がきちんと育ってこなかったことが大きな理由である。
 豊かな地熱資源を抱え、太陽電池の生産や研究の先進国でもある日本としても、新たな制度を導入するべきだとの声が高まったのもうなずける。
 新制度の案には問題点もある。その一つは、発電コストが高い太陽光を除き、風力も地熱もバイオマス発電も「すべて一律の購入価格とする」という提案だ。
 だが、再生可能エネルギーの種類や規模、地域性などによって発電コストは大きく異なる。すべてのエネルギーについて、買い取り価格を同じにしたら、場合によっては採算が成り立たなくなる事業が出る恐れもある。また、エネルギー源同士の競争が阻まれ、発電コストの削減が進まなくなることも考えられる。
 各地の実情に応じて、分散型の発電施設をつくるという再生可能エネルギーの利点を生かすためには、地域の事情や技術レベル、市場の規模などに柔軟に対応できる買い取り制度にする必要があるだろう。
 政府は来年の通常国会に導入のための法案を提出し、11年度からの制度実施を目指している。
 実現のための費用は電力料金に上乗せされる制度であるため、産業界の一部には、企業にとって負担増となることへの懸念が残る。ねじれ国会の下で、制度の実現に向けた議論が難航する可能性もある。だが、再生可能エネルギー開発でこれ以上立ち遅れることは、地球温暖化対策上も、エネルギー安全保障の観点からも望ましいことではない。企業の温暖化対策の強化が求められる中、日本の産業界が国際的な競争力を身に付ける上でのマイナスとなることも強く懸念されている。
 活力ある再生可能エネルギー市場を形成し、成長や雇用の新たな芽を育てるため、開かれた議論の場を設け、多くの人が納得できる制度の詳細を早急に決めることが求められる。


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